山田風太郎、関連。

山田風太郎原作・せがわまさき*1の漫画『Y十M(ワイじゅうエム)・柳生忍法帖にて、いよいよ本編へ突入し、柳生十兵衛も登場。今後の展開にワクワク。
自分個人としては、十兵衛は勿論だが、千姫がどのように描かれるかが結構、関心事。
一般的に千姫というと「悲劇の女性」というイメージが強いと思うが、山田風太郎は単純にそうとは捉えていなかったようだ。
先日読んだ『忍法聖千姫*2でも、彼女は妖気漂う幻想的な美姫として描かれている。

山田風太郎の描く千姫像によって、これまでの自分が抱いていた印象が大きく変った。

嫁ぎ先を祖父家康、父秀忠に滅ぼされ、関わる男性が次々と早世し、弟家光に庇護され、その後の四十年を静かに余生を送ったという彼女の心境は、果たしていかなるものだったのだろうか。

「強い思念は人の身体の成長(あるいは退行)を停止させる」という俗説を聞いたことがあるが、様々な思念を深く抱いた彼女は、きっとそのままの美しさを凝り固めたまま生涯を閉じたのではないかと、勝手に想像してしまう。

人間臨終図巻〈2〉 (徳間文庫)山田風太郎も、こう言う。

「いまではだれも、六十九歳の千姫様など想像する者はない。」

まったく、そのとおりだと思う。

*1:[http://homepage1.nifty.com/segawa-page/:title]

*2:「忍法関ヶ原」よりISBN:4062646803:detail